前回の記事に引き続き、ロボットなどのシステムを表した複雑なブロック線図について、簡単化するために必要な知識を紹介していきます。
前回の記事はこちら。

今回は、加え合わせ点と引き出し点についての知識を、数式を用いながら証明していきます。
加え合わせ点
加え合わせ点を用いることで、信号の足し算や引き算を行うことが出来ます。

3つ以上の信号が入力されている加え合わせ点は、その入力の足し算(または引き算)を分けて行うことが出来ます。
3つの入力信号をX_1(s)、X_2(s)、X_3(s)、出力信号をY(s)とします。
左図のように、3つの信号を同時に加え合わせた場合の出力信号Y(s)は、
Y(s) = X_1(s)+X_2(s)+X_3(s)
と表すことが出来ます。
右の図は、まず3つの入力信号の内X_1(s)とX_2(s)を加え合わせた後、入力信号X_3(s)を加え合わせています。
この場合、初めの加え合わせ点の出力C(s)は、
C(s) = X_1(s)+X_2(s)
となります。
そして、出力信号Y(s)は、C(s)とX_3(s)を用いて、
Y(s) = C(s)+X_3(s)
となります。
これより、入力信号(X_1(s)、X_2(s)、X_3(s))と出力信号(Y(s))との関係は、2つ目の式のC(s)に1つ目のC(s)についての式を代入することで、
Y(s) = X_1(s)+X_2(s)+X_3(s)
と求めることが出来ます。
よって、3つの入力信号を同時に加え合わせた場合(左図)と順に加え合わせた場合(右図)の出力信号は同じになることが分かりました。
引き出し点
引き出し点を用いることで、信号の流れを増やすことが出来ます。

引き出し点が連続している場合、その引き出す順序を変更することが出来ます。
入力信号をX(s)、出力信号をY(s)とします。
今回の場合、入力信号X(s)と出力信号Y(s)の間には伝達要素が含まれていないため、
Y(s) = X(s)
と入力信号X(s)がそのまま出力信号Y(s)になります。
左の図について、入力信号X(s)から内部信号C_1(s)が引き出された後、内部信号C_2(s)が引き出されて出力信号Y(s)に向かいます。
この場合、2つの内部信号(C_1(s)とC_2(s))が引き出される引き出し点での信号は共に入力信号X(s)のままなので、内部信号(C_1(s)とC_2(s))は、
C_1(s) = X(s)
C_2(s) = X(s)
となります。
右の図の場合は、入力信号X(s)から内部信号C_2(s)が引き出された後、内部信号C_1(s)が引き出されて出力信号Y(s)に向かいます。
この場合も、2つの内部信号(C_1(s)とC_2(s))が引き出される引き出し点での信号は入力信号X(s)のままなので、
C_1(s) = X(s)
C_2(s) = X(s)
と内部信号(C_1(s)とC_2(s))を表すことが出来ます。
よって、連続する引き出し点の順番を入れ替えても、ブロック線図の特性は変化しないことが分かりました。
まとめ
今回は、複雑なブロック線図を簡単化するために必要な加え合わせ点と引き出し点についての知識を、数式を用いながら紹介しました。
引き続き次回も、複雑なブロック線図をシンプルに簡単化するために重要なブロック線図の特性を紹介したいと思います。
