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システムの安定性:ラウス配列の特別な例(その2)

ロボットなどの制御システムが安定か不安定かを判断することが出来るラウスの安定判別法と言う手法があります。

その際に必要となるラウス配列を作成する時に、ちょっとした工夫が必要となる特別なケースが2つあります。

前回の記事では、1つの要素が0になる場合について、\(\varepsilon\)を用いてラウス配列を作成する方法を紹介しました。

ラウスの安定判別法を用いることで、ロボットなどの制御システムが安定か不安定かを判断することが出来ます。 前回の記事では...

今回は、もう一つの特別な例である全ての要素が0になる場合についての対処法を紹介します。

全ての要素が0になる場合

特性方程式\(D(s)\)が、

$$ D(s) = s^5 + 2 s^4 + 6 s^3 + 10 s^2 + 8 s + 12 $$

で与えられる場合のラウス配列を作成していきます。

この特性方程式よりラウス配列を作成すると、

$$ \begin{eqnarray} \begin{array}{c|ccc} s^5 & 1 & 6 & 8 \\ s^4 & 2 & 10 & 12 \\ s^3 & \frac{2\cdot6-1\cdot10}{2}=1 & \frac{2\cdot8-1\cdot12}{2}=2 & 0 \\ s^2 & \frac{1\cdot10-2\cdot2}{1}=6 & \frac{1\cdot12-2\cdot0}{1}=12 & 0 \\ s^1 & \frac{6\cdot2-1\cdot12}{6}=0 & \frac{6\cdot0-1\cdot0}{6}=0 & 0 \\ \end{array} \end{eqnarray} $$

と\(s^1\)行の全ての要素の値が0になってしまいます。

そのため、このままでは次の行である\(s^0\)行を算出することが出来ません。

このように全ての要素が0になった場合は、1つ前の行の微分を用いることで0になった行の要素を算出します。

今回のシステムの場合、\(s^1\)行の全ての要素の値が0になったため、1つ前の行である\(s^2\)行の

$$ 6 s^2 + 12 s^0 = 0$$

を用います。

この\(s^2\)行を微分すると、

$$ 12 s^1 = 0$$

が得られます。

この微分により求めた値を用いて、ラウス配列の続きを計算していきます。

$$ \begin{eqnarray} \begin{array}{c|ccc} s^5 & 1 & 6 & 8 \\ s^4 & 2 & 10 & 12 \\ s^3 & \frac{2\cdot6-1\cdot10}{2}=1 & \frac{2\cdot8-1\cdot12}{2}=2 & 0 \\ s^2 & \frac{1\cdot10-2\cdot2}{1}=6 & \frac{1\cdot12-2\cdot0}{1}=12 & 0 \\ s^1 & \frac{6\cdot2-1\cdot12}{6}=0 \rightarrow 12 & \frac{6\cdot0-1\cdot0}{6}=0 & 0 \\ s^0 & \frac{12\cdot12-6\cdot0}{12}=12 &  & \\ \end{array} \end{eqnarray} $$

求めたラウス配列の第1列から得られる数式

$$ \left[ 1, 2, 1, 6, 12, 12 \right] $$

の要素の符号が一致しているため、このシステムは安定であると言えます。

ここで、もう一度\(s^2\)行に注目すると、

$$ 6 s^2 + 12 s^0 = 0$$

$$ s^2 + 2 = 0$$

$$ s^2 = -2 $$

$$ \Rightarrow s = j \sqrt{2} $$

となります。

これより解の内2つが虚軸上に存在するため、このシステムは不安定でありませんが、安定限界であることが言えます。

まとめ

今回は、ラウス配列を作成する際の特別な例として、全ての要素が0になる場合についての対処法を紹介しました。

全ての要素が0になった場合でも、その前の行を微分することで得られる値で置き換えることによりラウス配列を作成し、安定性を判別することが出来ます。

次回は、具体的な例を用いながらラウス・フルビッツの安定判別法を用いて、ゲインの調整方法を紹介していきたいと思います。

ロボット等のシステムの制御系について、そのシステムが安定か不安定化を確認することはとても重要です。 ラウス・フルビッツ...
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